介護の仕事してると、利用者の家族と雑談をする機会は、けっこうあります。
きまって聞かれるというか、言われるのが「大変でしょう?」っていうセンテンスなんですよね。
で、正直、介護の仕事って、大変なんだけど。
大変でもないんですよ。
「…ん?」って感じですよね。
今回の記事では、介護職のキツイ部分と、大変でもない部分を解説していきます。
介護職の「キツさ」にも種類別の違いがある
キツいって言っても、その「キツさ」には、種類がありますよね。
介護職のキツさで言うと、ぼくは2種類あるかなーと感じています。
結論から言うと、以下のような「キツさ」です。
- 全産業で最下層に位置する給料面での「キツさ」
- 排泄介助や認知症の人への対応に伴う感情的な「キツさ」
いわゆる、3Kって言われるようなところに当てはまってきますよね。
そりゃあ、誰だって、給料の低いところで働きたいとは思わないですよ。
給料がよくて、人間関係がよくて、福利厚生が整っていて、難しいことは考えたくない。
って思うのが、サラリーマンの願いじゃないですか?
介護業界で最大の問題点は給料のアッパーが低いところ
介護業界って、給料面でのアッパーが、ある程度決まってしまうところはあります。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、2019年の介護職員の平均年収は359.8万円です。
全産業との差は、なんと100万円を下回ってきます。
全産業の昨年の平均年収は、463万4900円だからです。
首都圏であれば、全産業の平均年収くらいは、なんとか目指せますけど。
地方になると、絶望的な給料です。
「生活保護か」って言いたくなるような、給与形態のところも少なくないです。
残業申請のハードルが高いと、なんとなくサービス残業になりがちですしね。
しかも、数分、数十分のサービス残業が続けば、そこに違和感を抱かないようになってきます。
人間は、一度でも違和感を許容してしまうと、徐々に「このくらいなら、まぁいいか」という気持ちが働き、次第に無茶振りの許容量が上がっていきます。
会社から洗脳をうける感じです。
ぼくは、子どもが2人いるってのもありますが「この仕事を何十年も続けて、最終的になんになるの?」っていう危機感を、強烈に抱いています。
給料のアッパーが既に見通せてしまう時点で、生活は維持できても、豊かさは手に入らないと言われてるようなものですからね。
そういう「キツさ」が、介護業界には、つきまといます。
つまり、年収面で上を目指そうとしたら、だいぶ居心地が悪い業界です。
「オレはこのくらいで十分だぜ」って人には気楽な仕事かもしれません。
介護職がキツイか気楽かってのは本人の許せるライン次第
介護職の適性があるか、ないかっていう基準はどこにあるのか。
それは、業務内容とか、給料面において、どこまでが耐えられるか、どこまでがムリなのかってところの、ラインにあるんですよね。
先述したように、キツさの種類が、介護の場合、排泄介助とか給料の低さってところに、該当するんだと思うんです。
例えば、排泄介助で、排便コントロールのためにラキソ20とか、ぶっ込まれて、弄便のある利用者が巡視のときに、サイドレールがうんこだらけになってても、淡々と処理できる。
っていう人であれば、介護職は気楽な仕事だと言えます。
まぁ、そこに抵抗がない人ってのは、いないとは思うんですけどね。
ディスポ越しとは言え、誰だって他人のうんこなんか、触りたくないですよね。
そういう「キツさ」が、介護職のキツさですかね。
そういった日常に対して「もうムリだわ」っていう気持ちが圧倒的に勝つのであれば、介護職は向いてないです。
それゆえに、向いてる人は、とことん向いてるし、向いてない人は、とことん向いてない。
ってことが言えてしまうのが介護現場なのです。
まぁ、それは別に、どんな仕事にも言えることではありますけどね。
数字を追うようなキツさが嫌なら介護業界は向いてる
以下の記事でも述べましたが、介護業界は定量的な評価を求められる仕事ではありません。
自由市場であるビジネスの世界は、基本的に数字を追うような構造になっています。
それゆえに、行動力であったり、積極性が求められます。
あえて、露悪的な見方をすれば、他人のリソースを奪うことによって、自分の利益を上げるような側面もあります。
じゃあ、介護業界はどうか?
以下の記事でも触れましたが、介護士の給料の正体は、介護保険料と国の財源です。
そのほとんどが、公的な財源によって、成り立っています。
つまり、準市場をベースとした、キャッシュフローなのです。
そして、介護職は、どちらかと言うと、ひっこみ思案な人の方が多い業界です。
そういった準市場的な経済事情も関係あるのかな?
わかりませんが。
だからこそ、やさしい人が多いんじゃないのかなーとも、勝手に思っています。
温厚で、人の痛みがわかるタイプの人が、流れてきやすい。
(わからなそうな人も流れてきやすいけどね)
少なからず、仕事ってのは、どこかにキツい部分が含まれるものです。
その中で、どんなキツさだったら、自分は受容できるのか。
キツさの種類によって、仕事の向き不向きが左右されます。
排泄介助とか、給料の低さっていう「キツさ」と引き換えに、数字に追われない気楽さが、介護業界の現場にはあるんじゃないかなと思います。