転職エージェントは、その裏側(ビジネスモデル)を知らないと、ややもすると「使われる立場」に回ってしまうリスクがあるサービスです。
外側から見えている転職エージェントと、裏側から見える転職エージェントは、違うからです。
この記事では
「転職エージェントかぁ…」
「なんか怪しい…」
で終わらせないために、転職エージェントの【裏事情】について触れていきます。
…え?
「使われる」って、どういうことなん?
それなら転職エージェントなんて「悪」でしかないじゃないか。
「そんなもん使いたくないわ」
「そもそも転職めんどくさいし」
「やっぱりYouTube見て寝るわ」
って思うかもしれません。
なんだってそうだけど、良い面と悪い面は、必ずセットになっています。
完璧な商品。サービスなんて無いんですよ。
だからこそ、転職エージェントの「しくみ」について知っておく必要があります。
この「しくみ」の部分がわかると、転職エージェントを利用した時に、デメリットが引き起こされる理由が、わかります。
転職は、あなたの今後の人生を左右する、分岐点です。
正しい知識を身につければ、デメリットを回避しながらも、転職エージェントを強い味方にすることだってできます。
転職エージェントってなんだっけ?
まず最初に、そもそも「転職エージェントってなんぞ?」という定義から再確認していきましょう。
簡単に言うと、転職エージェントとは、転職したい人と、求人を募集してる会社との間に入ってくれる仲介業者のことです。
漫画に例えると、シャーマンキングみたいなイメージですかね…。
「あの世と、この世を、むすぶ者!」って、主人公の麻倉 葉が言ってますけど。
この文脈だと、転職エージェントは「求職者と、募集企業を、むすぶ者!」ってことになります。
転職にまつわる登場人物は、3人です。
転職したい人と・人手がほしい会社・間をとりもつ第三者の介入。
それぞれがキレイにWin Winの関係を構築することができれば
- 求職者は「いい感じの転職」ができる
- 会社は「いい感じの採用」ができる
- そうすれば転職エージェントも「いい感じの利益」になる
ハッピー。
そんな、三法よしの仲介業。
それが転職エージェントです。
ここで、間に入ってくれる人のことを、キャリアアドバイザーと呼びます。
キャリアアドバイザーは、求職者に対して、以下のようなサービスを無料でサポートしています。
- 求職者に見合う求人情報の紹介
- 応募書類や面接の対策(場合によっては面接の同行もあります)
- 面接日や入社日の調整
「なんで無料…?」
「ボランティアなの?」
って思うかもしれませんが、転職エージェントも、れっきとした営利企業。
お金をもらう場所が、別にあるということです。
介護士の9割が知らない転職エージェントの裏事情
さて、ここまでが【転職したい人】から見えている、転職エージェントの定義です。
【転職させたい人】から見える転職エージェントは、景色がちょっと違います。
ぼくら求職者が、転職エージェントの「カモ」にされるだけの存在にならないためには、少なくともキャリアアドバイザー側の目線は理解しておきたいところです。
ここで注目すべき点は、転職エージェントの裏側(ビジネスモデル)です。
転職エージェントのビジネスモデルは、【成功報酬型の仲介業】です。
「求職者が転職を果たすことで、仲介手数料が発生する」という、構造的な特徴があります。
仲介手数料は、転職を斡旋した求職者の年収によって、決まります。
手数料の相場としては、年収の30%。
仮に、転職した人の年収が500万円であれば、150万円の金額を、企業が転職エージェントに対して支払います。
結構な額ですよね。
だからこそ、求職者は無料で転職エージェントを利用できるのです。
このことから、転職エージェントにとってのお客さんは、求職者ではなく、企業であることが見えてきます。
つまり、どちらかと言うと求職者は企業に提供する「商品」という位置付けになるのです。
転職エージェントを利用する際には、このことを念頭に置いておく必要があります。
転職エージェント利用のデメリットに繋がる最大の要因
シンプルに言えば、転職エージェントの目的は、求職者をA(現職)からB(転職先)へと、移動させることです。
「移動」さえできれば、転職エージェントとしての仕事は果たされます。
ノルマ達成です。
転職エージェントの利用で起こりうる、デメリットに繋がる最大の要因は、この仕組みにあります。
先述した「使われる」に、直結する部分ですね。
このモデルの弊害は、求職者を強引に転職「させる」ような、方向性の歪みが生じやすい点にあります。
キャリアアドバイザーの都合によっては、求職者の背中を押す力の入り方が、強くなりすぎたり、その向きがズレたりします。
露悪的な言い方をすると…
右から左に求人を流して、求職者を転職先に押し込んでしまえば、成果報酬を得ることができます。
それゆえに、目先の売り上げを優先するタイプのキャリアアドバイザーの場合、求職者の未来(キャリアプラン)は二の次で、求職者が転職しやすそうな法人を押し込んできます。
「求職者がキャリアダウンしようが、転職先がブラック企業だろうが、内定が取りやすい法人を充てがってしまえば関係ないぜー!ヒーハー!」
こういった考え方のキャリアアドバイザーが、一定数存在することを知っておかなければなりません。
転職エージェントの持つ情報や、日程調整・交渉事の労力を【活用する立場】に回ることができないなら、そもそも転職エージェントは利用するべきではありません。
じゃあ、結局どうしたらいいんだ?
…ハローワークか?
しかし、これがまたハローワークにも、それなりに裏事情ってものがあるんですよね。
そこに関しては長くなるので、以下の記事を参照してください。
参照記事:介護士がハローワークで転職活動をしてはいけない理由
転職エージェントとはビジネスパートナーとしての接点を持ちたい
…で。
「結局、転職エージェントって使わない方がいいの?」
って話ですよね。
今回の記事で、もしかしたら転職エージェントに対して、よりネガティブな感情を持ってしまったかもしれません。
ただ、ここまで触れてきた内容は、自己防衛のための知識です。
転職エージェントの「しくみ」について理解していないと、足元見られることがあるよって話。
どうせ転職エージェントを使うなら、対等の関係で手を組むってことをしてほしいんですよ。
介護士とはいえ、ビジネスマンとして「取引」をする。そんなイメージで。
転職エージェントも、転職サイトも、ハローワークも、あくまで転職するための手段に過ぎません。
「誰かがなんとかしてくれる」っていう期待だったり、受け身な態度で利用すると、不本意な結果を招きます。
知らず知らずのうちに、誰かに利用される立ち位置に回る可能性が、高くなるからです。
なんなら、ここに記されていることも鵜呑みにせず、ぜひ能動的に、より良い転職につながる活動をしていってくださいませ。